北極圏の夏、太陽は沈みません。
夜になっても空は薄明るく、街も森も、まるで夢の中のように静まり返ります。
そんな白夜の季節、北欧の人々は“光の中で眠る”という、不思議な時間を生きています。
夜が消える国の眠り方
ノルウェーやアイスランドでは、5月から7月にかけて、地域によっては太陽が沈まない日が続きます。
“夜”という概念が薄れ、時間の感覚がゆるやかに溶けていくのです。
観光客の多くが“眠りにくい”と感じると言います。
身体の時計は夜を探しても、空は昼のまま。
けれど、現地の人々は静かに笑います。
「眠れないなら、光と仲良くすればいい」――カーテンを閉めず、淡い光の中でそのまま横になる。
彼らにとって眠りとは、暗闇に身を預けることではなく、“静けさを受け入れる”ことなのです。
光と闇、どちらも「休息」
白夜とは逆に、冬には太陽が昇らない“極夜”が訪れます。
長い夜のあいだ、人々はキャンドルを灯し、暖かな毛布にくるまって過ごします。
光のない季節を恐れるのではなく、「静けさを楽しむ時間」として受け入れるのです。
昼も夜も極端なこの地では、“光と闇のバランス”を取ることこそが、心の健康を守る鍵。
光の強い日には目を閉じて休み、夜の長い日には、灯りのぬくもりで心を照らす――それが、北極圏の人々がたどり着いた眠りの知恵です。

光の中で、夜を見つける
白夜の夜に、静かな湖のほとりで眠るとき、人々は目を閉じながらも、まぶたの裏に光を感じます。
それは“光に包まれる眠り”。
闇がない代わりに、心の中で夜をつくる。
呼吸をゆっくりと整え、光をひとつずつ薄めるように、意識を静かに沈めていく。
暗闇を見つけるのではなく、自分の内側に“やすらぎの夜”を灯すのです。
その感覚は、私たちの暮らしにも通じるもの。
眠るとは、光を完全に消すことではなく、心の明かりを少しだけ弱めることなのかもしれません。
内なる夜が灯るとき
夜がなくても、人は眠る。
闇がなくても、心は休む。
北極圏の人々は、光の中に“静けさ”を見つけ、夜のない時間を美しく生きています。
今日も、あなたの中に小さな光がやさしく灯りますように。
その明るさが、あなたをやさしい眠りへ導いてくれますように。
(文・熟睡アラーム編集部)
おやすみの国めぐり
第一回 サウナと眠りの国 ― フィンランドの夜に学ぶ“ととのう眠り”
第二回 昼と夜、2回眠る国 ― スペインの“シエスタの知恵”
第四回 星と眠る砂漠の夜 ― モロッコの“星に包まれる眠り”
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