もしかして睡眠時無呼吸?
以前の記事にも書きましたが、筆者はいびきをかきます。
そして、隣で寝ていた家族から「息が止まっていたよ」と言われたことがあります。
そう、睡眠時無呼吸です。
息が止まっていたと聞かされた時は驚きましたが、当人はまったく自覚がありません。もし指摘してくれる人がいなければ、自分自身のいびきも無呼吸も気づくことができないので、これはやっかいです。
いびきと睡眠時無呼吸のメカニズム
いびきと睡眠時無呼吸のメカニズムをざっくりと説明しましょう。
睡眠中は体中の筋が緩みます。仰向けで眠るときは、緩んだ舌や口蓋垂(のどちんこ)が重力で落ち込むのですが、人によっては図のように呼吸の通り道を塞いでしまいます。
わずかな隙間があればそこに空気が通りますが、この時に粘膜が細かく振動して音を発します。これが「いびき」です。
しかし、完全に呼吸の通り道が塞がれてしまえば呼吸が止まります。止まったままだと死んでしまうので、脳は危険を察知して呼吸を再開させます。つまりその間は、呼吸をしていない「無呼吸」になるわけです。これを「閉塞性睡眠時無呼吸」といい、睡眠時無呼吸の典型です。
この例のいびきや無呼吸は仰向けに寝たときに起こりやすいので、横向きに寝れば軽減する人もいます。しかし眠っていれば無意識に寝返りもするので、意図して横向きを維持しつづけるのは困難です。
なぜそうなる?
例えば舌の周りに脂肪がつけば、重さが増して舌の付け根が落ち込みやすなります。なので、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸の原因=「肥満」と思われがちですが(もちろん大きな原因の一つではありますが)、他にも要因はあります。
例えば、お酒を飲んだ後はいびきがひどくなる、なんて聞いたことありませんか?アルコールは筋を緩める働きがあるので、舌の付け根などが落ち込みやすくなるのです。
意外なところでは、顔の骨格による原因も指摘されています。
太っていない場合も顎の大きさの小さい人に多く見られます。明らかに顎が小さいだけでなく、上下の歯を閉じて、イーッと口を開けたときに、上の歯が下の歯をほぼ隠してしまうような場合は、過蓋咬合(かがいこうごう)と言って睡眠時無呼吸症候群が存在する可能性がより考えられます。
つまり全体として顎が小さい、あるいは後ろに引けている場合でこういう場合には特に仰向け寝をしたときに気道が閉塞しやすくなります。
出典:すなおクリニックQ&A
いびきや睡眠時無呼吸の要因は他にもあるので、少なくとも、「太っていなければ無呼吸にはならない」とは思わない方がよさそうです。
睡眠時無呼吸症候群とは
10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上認められた場合は、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、英語の頭文字をとりSAS(サス)とも呼ばれます。
睡眠中に何度も無呼吸になれば、その都度、呼吸を再開させるために脳が覚醒することになります。つまり必要十分な睡眠時間があっても脳が休めていないので、日中にひどい眠気に襲われたり、気力が衰えたり、わけもなく疲れが出たりします。睡眠時無呼吸に端を発したさまざまな症状が現れる(つまり症候群)のが、この疾患の特徴です。
治療しなければ高血圧、脳梗塞、糖尿病などのリスクが高まるので、放置するのは危険です。
自分が睡眠中にどの程度無呼吸になったかを知ることは困難なので、気になる方は専門医の検査を受ける必要があります。
まずは自宅で検査
検査といってもそれほど身構えることはありません。多くの場合は、自宅でできる簡易検査から始まるからです。
ドクターの問診が終わると、簡易検査の機器が貸し出されます。自宅に持ち帰り、その機器を装着した状態で普段通りに眠ります。機器を返却すれば、機器内に保存されている記録から睡眠時無呼吸症候群の重症度がある程度分かるのです(簡易検査の結果によっては、精密検査に進む場合があります)。
ちなみに、熟睡アラームの監修医である内田医師のクリニックでは、精度が高いとされる「ウォッチパット」という下の写真のような検査機器を使うそうです。
眠るときに少し違和感を覚えるかもしれませんが、センサーを体中に沢山つけて医療機関に宿泊する精密検査に比べれば、かなり楽といえます。
家族などから「いびきがひどい」「呼吸が止まっていたことがある」と指摘された方、指摘する人がいない場合でも日中の眠気がひどいなどの症状がある方は、一度専門医を受診してみることをおすすめします。
記事協力:すなおクリニック院長・医学博士 内田直