モロッコを象徴するサハラ砂漠の夜は、人工の音がほとんどありません。
風の音と、遠くで鳴くロバの声、そして砂をわたる静かな気配。
太陽の国と呼ばれるモロッコでは、“夜こそが一番美しい時間”と語られる場所があります。
それが、サハラ砂漠の眠り――星と静寂に包まれる夜です。
星が降る場所で眠る
サハラ砂漠の夜は、驚くほど暗く、そして明るい。
街の灯りが届かない砂漠では、満天の星が空一面に広がり、まるで天井のない寝室のよう。
砂の上に敷かれたラグ、焚き火のぬくもり、そして遠くにかすかに聞こえる遊牧民の笛の音。
モロッコの人々は、この夜空を“眠りの天幕”と呼び、旅人たちをもてなします。
テントの中で眠るとき、砂の匂いと風の音が、ゆっくりと心を落ち着かせていくのです。
夜の静けさが、心をリセットする
昼の砂漠は灼熱ですが、夜は驚くほど冷えます。
その温度差が、身体の緊張をほぐし、深い眠りへと導きます。
現地の人々は、夜の静けさを「心を洗う時間」と言います。
昼の喧騒を遠く離れ、ただ星を見上げて呼吸する。
その“無音の時間”が、自然と体内のリズムを整えてくれるのです。
観光客の中には、眠る前にランプを消し、砂の上に横たわって“星と一緒に眠る”人も多いのだとか。
人工の光がない夜ほど、眠りは深くやさしくなります。

祈りと夜 ― 心を整えるリズム
モロッコの人々の暮らしには、イスラムの祈りのリズムがあります。
夜明け前、昼、午後、日没時、夜――1日に5回祈るそのサイクルは、自然と“眠りと覚醒”のリズムを形づくっています。
夜の祈りが終わると、家の灯りが一つ、また一つと消えていく。
祈りのあとに訪れる静寂は、まるで“眠りへの道しるべ”のようです。
心を整え、感謝とともに一日を終えるその習慣は、まさに“小さな安息”と言えるかもしれません。
夜がくれる、小さな安息
星が見えなくても、夜の静けさを感じるだけで、私たちは少しサハラ砂漠の夜に近づけます。
電気を消して、暗闇の中に横たわる。
目を閉じて、遠くの風の音を想像する。
眠りとは、日常の中で小さな旅をすること。
今日もどうか、あなたの心に星空が広がりますように。
(文・熟睡アラーム編集部)
おやすみの国めぐり
第一回 サウナと眠りの国 ― フィンランドの夜に学ぶ“ととのう眠り”
第二回 昼と夜、2回眠る国 ― スペインの“シエスタの知恵”
睡眠にお悩みなら試してみてください